Story   ものづくりのストーリー 




当店のものづくりにかける思いを知っていただければと思い、「ものづくりのSTORY」のページを作成することとなりました。

SNSやブログと連動して一つ一つゆっくり発信していきますので、お時間ある時にぜひご一読くださいませ。




Story 1   日本一美味しいプリンを目指すことをやめた理由


 駅から遠く離れたたった3坪(6畳)の小さな店舗にて夫婦二人ですべて手造り、ガラス瓶でじっくり焼き上げる成城プリンは全8種類。どれも数え切れない程の試作を通じ商品開発に時間と手間をかけた自信の逸品達です。当店ではこの8種類すべてが定番商品のため、寒い冬も暑い夏も変わらず製造し、おかげさまで一つも無駄にすることなくお客様の元に旅立たせていただいております。


 お客様の声を聞く中で、大きく心を動かされたエピソードが二つございました。


 一つはご子息がご結婚されたお相手の方と、そのご両親との間に心の溝があるとのことで、その両方に当店のプリンを同時に届くように送りたいとお客様よりご用命いただいたことがございました。その理由を伺いますと「私はこのプリンを食べると幸せな気持ちになるから幸せプリンと呼んでいるのよ。このプリンを同時に食べてからお話したら、きっといい関係に戻れるような気がするのよ」とのことでした。


 そしてもう一つは、ご高齢のご家族がとても重い病でもうほとんどの食事を受け付けない状態におられていて、唯一当店のプリンを食することが出来たと、その時の美味しいという表情がご看病されているご家族の大きな喜びであったと、そして最後の食事をありがとうございましたとのご報告をいただいたことがございました。


 どちらのエピソードもお客様のお心遣いの深さから、造り手として足が震えるほど身に余る光栄と同時に身の引き締まる謙虚な思いが湧き上がりました。


 それまで私共夫婦は長い間ずっと「どこよりも美味しい日本一のプリン」を作ることが一番高い頂であると思い目標にし、努力して参りました。しかしプリン屋であればその努力は当たり前のことであり、その頂の先にあるものを考えるようになりました。それはお客様から教えていただいた、食べた人が「幸せな気持ちになるプリン」。それは自分自身へのご褒美や癒しだったり、誰かへの思いをのせたプレゼントだったり、とにもかくにも食べた人が笑顔になって、それを見たり聞いたりした送った人も幸せに包まれるような、一言で申しましたら「幸せプリン」。そのようなプリンをお届けすることが今の私たちの新たな目標となっています。